特定活動|EPA(介護福祉士・介護福祉士候補者)について詳しく解説
高齢化が進む日本において、要介護や要支援の認定者が今後も増加傾向であると言われています。
必要な介護職員の人数が、2040年には280万人にのぼる見通しで、厚生労働省は介護人材の確保に向けた取り組みを行っています。
介護現場のなかには、外国人労働者の雇用を考える事業所もあると思われます。
介護で働く外国人は、いろいろな在留資格で働けますが、なかでも「特定活動EPA介護福祉士」の在留資格は他の在留資格と異なり、いろいろな規定があります。
この記事では、「特定活動 EPA介護福祉士」の在留資格の取得方法について、EPAの特徴も含めて詳しく解説します。
EPAの特徴
EPAとは、経済連携協定(Economic Partnership Agreement)の略称で、幅広い経済関係の強化を目指して、貿易や投資の自由化・円滑化を進める協定のことです。
経済的な他国との協定は他にもありますが、EPAの特徴は、貿易の自由化に加えて、人、物、お金に関するさまざまな分野での協力を含めて、幅広い経済関係の強化を目的とする協定であるところです。日本はさまざまな国と協定を結んでいます。
在留資格「EPA介護福祉士」は、EPAに基づいて一定の要件を満たす外国人が、日本での資格取得を目指し、日本の施設で就労、研修を行うことを特例的に認め、資格取得後も継続して日本に滞在することが期待されるものです。
介護分野の人材不足を補う目的ではなく、他国との経済連携の強化のために行われている事業になります。
特定活動「EPA介護福祉士」
特定活動「EPA介護福祉士」とはどのような在留資格なのでしょうか。
ここでは、特定活動「EPA介護福祉士」について説明します。
特定活動「EPA介護福祉士」の条件
特定活動「EPA介護福祉士」は、EPAに基づき日本へ「EPA介護福祉候補者」として来日します。
候補者は、日本の国家資格取得を目指しながら、介護施設で就労、研修を行います。
国家試験を受験して、介護福祉士の資格を取得することができれば、特定活動「EPA介護福祉士」の在留資格へ在留資格変更許可申請を行うことにより、特定活動「EPA介護福祉士」の在留資格を取得することになります。
そのため、特定活動「EPA介護福祉士」の在留資格の条件としては、「EPA介護福祉士候補者」として来日、国家試験に合格することが条件となるのです。
EPA介護福祉士候補者として、受け入れが行われているのは、インドネシア、フィリピン及びベトナムの3か国だけです。
インドネシア、フィリピン及びベトナムに関しては、就学コースもありますが、近年の受け入れ実績がないため、ほとんどが介護施設で働きながら研修を受け、国家資格取得を目指すことになります。
EPA介護福祉士、EPA看護師については、国内唯一の受入れ調整機関である国際厚生事業団(JICWELS)が候補者のあっせんなどを行っています。
特定活動「EPA介護福祉士」の滞在期間
特定活動「EPA介護福祉士」の滞在期間に制限はありません。
特定活動「EPA介護福祉士」の在留期間は定められた枠内での期間です。
しかし、引き続き日本に「EPA介護福祉士」として滞在を希望する場合は、在留期間更新に制限がないため、資格を持って仕事に従事する限り日本にいることができます。
特定活動「EPA介護福祉士」申請の流れ
特定活動「EPA介護福祉士」の在留資格申請をするためには、まず日本に「EPA介護福祉士候補者」として来日する必要があります。
特定活動「EPA介護福祉士候補者」として在留資格を取得し、介護施設で就労と研修を実施したのち、国家試験を受験します。
国家試験に合格すれば、住居地を管轄する地方出入国在留管理官署へ特定活動「EPA介護福祉士」への在留資格変更許可申請を行い、認められた場合は、特定活動「EPA介護福祉士」の在留資格を取得できます。
特定活動「EPA介護福祉士」の必要書類
特定活動「EPA介護福祉士」の在留資格変更許可申請に必要な書類は以下の通りです。
代理申請も可能ですが、窓口にて申請する方の身分を証する文書(申請取次者証明書、戸籍謄本等)の提示が必要です。
在留資格変更許可申請書 | 1通 |
規定の規格を満たした写真 <写真の規定>
提出する日より前の3か月以内に撮影されたもの
| 1葉 |
パスポート及び在留カード | 提示 |
活動の内容、期間、地位及び報酬の記載のある雇用契約書の写し | 1通 |
住民税の課税(又は非課税)証明書 | 各1通 |
護福祉士登録証の写し | 1通 |
JICWELSが発行する「EPAに基づく看護師/介護福祉士の受入れ要件確認の結果について」の写し | 1通 |
特定活動「EPA介護福祉士候補者」
特定活動「EPA介護福祉士」の在留資格を取得するためには、特定活動「EPA介護福祉士候補者」として来日する必要があります。
ここでは、特定活動「EPA介護福祉士候補者」について詳しく説明します。
特定活動「EPA介護福祉士」の条件
特定活動「EPA介護福祉士候補者」はインドネシア、フィリピン、ベトナムにて以下の要件を満たす必要があります。
インドネシア
以下のいずれかに該当するもの
1. インドネシア国内にある看護学校の修了証書Ⅲ以上取得者
2. インドネシア国内にある大学の看護学部卒業者
3. インドネシア国内にある看護学校、大学の看護学部以外の大学又は高等教育機関から修了証書Ⅲ以上の学位を取得し、かつインドネシア政府より介護士として認定されたもの
フィリピン
以下のいずれかに該当するもの
1. フィリピン国内にある看護学校卒業者
2. フィリピン国内にある高等教育機関から学位号を取得し、かつフィリピン政府により買い越しとして認定されたもの
ベトナム
ベトナム国内における3年制もしくは4年制の看護課程の修士者
そのほか共通の要件
• 訪日前日本語研修にて、一定の日本語能力に達していること
• 訪日後日本語研修、介護導入研修を修了していること
• 国際厚生事業団(JICWELS)の紹介による受入機関との雇用契約を結んでいること
特定活動「EPA介護福祉士候補者」の滞在期間
特定活動「EPA介護福祉士候補者」の滞在期間については、以下のとおりです。
滞在期間
特定活動「EPA介護福祉士候補者」の在留期間は、上限4年です。
日本に来日して4年目に国家試験を受験します。
在留期間内で国家試験に合格した場合
特定活動「EPA介護福祉士候補者」が在留期間内に国家試験に合格した場合は、在留資格変更許可申請を行い、特定活動「EPA介護福祉士」に在留資格を変更します。
特定活動「EPA介護福祉士」は、在留期間更新に制限がないため、その活動を継続して行うかぎり、日本に滞在を続けることができます。
国家試験に不合格となった場合
国家試験に不合格になった場合にも、一定の条件を満たせば、協定上の枠組みを超えて1年間滞在を延長することができます。
その場合には、住居地を管轄する地方出入国在留管理官署へ、在留期間更新許可申請を行います。
不合格のため帰国をした場合にも、「短期滞在」の在留資格を取得して日本に来日して、国家試験を受験することも可能です。
何度でも日本の資格取得に挑戦できる在留資格といえるでしょう。
特定活動「EPA介護福祉士候補者」申請の流れ
「EPA介護福祉士」については、送り出し調整機関、受け入れ調整機関が両国の政府によって指定されています。
そのため、特定活動「EPA介護福祉士候補者」として来日を望む外国人は、まず母国の送り出し調整機関に候補者として認定、登録してもらうことが必要となります。
その後の流れは、各国の送り出し調整機関と国際厚生事業団(JICWELS)が連携して執り行いますので、それに従って研修や、契約を締結します。
来日時の在留資格申請や、査証申請等も、国際厚生事業団(JICWELS)と各国の送り出し調整機関が一括して行います。
まとめ
特定活動「EPA介護福祉士」、特定活動「EPA介護福祉士候補者」は、EPAの枠組みのなかで、外国人が日本での資格取得を目指し、日本の施設で就労、研修を行うことを特例的に認められ、資格取得後も継続して日本に滞在することができる在留資格です。
日本と各国との取り決めのなかで行われる事業であるため、各国の送り出し調整機関、日本での受け入れ機関が指定されています。
そのため、特定活動「EPA介護福祉士候補者」として来日を希望する外国人は、各国の受け入れ機関に候補者として認定、登録してもらうことが必要となります。
来日後については、日本の受け入れ機関である国際厚生事業団(JICWELS)がさまざまなサポートを行っています。来日後に不安がある候補者や、「EPA介護福祉士候補者」を受け入れたいと希望する事業所の方は国際厚生事業団(JICWELS)に、または専門の行政書士に相談することをおすすめします。
この記事の監修者
プロフィール
2009年4月 行政書士個人事務所を開業
2012年8月 個人事務所を行政書士法人化し「さむらい行政書士法人」を設立
専門分野
外国人VISA・在留資格、外国人雇用・経営管理、永住・帰化申請
入管業務を専門とし、年間1000件以上の相談に対応
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