興行ビザの取得までの流れや必要書類、審査期間を詳しく解説
外国人が観客を集めたイベントや公演を行うために来日する場合、在留資格は「興行」となり、興行ビザの取得が必要となります。
「興行」とは、観客を集め、料金を取って演劇・音楽・映画・相撲・見世物などを催すことです。
在留資格の場合の「興行」もほぼこの意味合いですが、プロフェッショナルとして芸能活動を行い、無料のイベントなどに出演する場合であっても興行にあたります。
また、興行ビザには興行以外の芸能活動において認められる種類のビザもあります。
この記事では、興行ビザの内容や取得までの流れ、必要書類や審査期間について詳しく解説します。
「興行ビザ」は4種類ある
興行ビザには興行ビザ1号~4号まで4種類があり、細かい規定があるため、申請に必要な書類も同じではありません。
興行ビザの種類はどのようなものがあるのか説明します。
興行ビザ1号
興行ビザ1号で対象となる興行活動は、演劇、演芸、歌謡、舞踊または演奏で、飲食店や、ライブハウスなど、比較的小規模な興行活動にあてはまるビザです。
興行ビザ1号は、施設や興行契約を結ぶ機関の規定が細かく定められています。
なぜなら、法改正以前の興行ビザは、人身売買や不法就労、不法入国につながるケースが散見されたため、そのようなことがないように厳しく規定されているのです。
そのため、興行の内容以外にも、給与や、従業員、施設についてなどの書類の提出が求められます。
興行ビザ2号に該当する活動である場合は、興行ビザ1号の対象には含まれません。
興行ビザ2号
興行ビザ2号は、演劇、演芸、歌謡、舞踊または演奏などの興行活動で、比較的大きな興行活動が対象です。
コンサートホールのように、飲食を伴わない場所での興行や、学校などでのイベント、もしくはテーマパークなどが対象です。
1日の報酬が50万円以上であること、100人以上の客席での活動などの規定があり、規模の大きい興行が想定されます。
規模が大きな施設で興行中に飲食を提供しなくても、飲食を提供する場所で興行を行う場合は興行ビザ2号の対象ではなくなる可能性が高いので、注意が必要です。
興行ビザ3号
興行ビザ3号とは、演劇・演芸・歌謡・舞踏・演奏以外の、興行活動を行う場合に申請する興行ビザです。
たとえば、以下に挙げるような活動は3号です。
•プロスポーツの試合
•eスポーツの試合
•サーカス
•ファッションショー
•チェスなどのボードゲーム大会
•ダンス選手権・コンテスト
日本人が受ける報酬と同じか、それ以上の報酬を得ることが必要になりますので、報酬についてはよく確認をする必要があります。
興行ビザ4号
興行ビザ4号は、興行以外の芸能活動を行う場合に申請します。
興行以外の芸能活動は、以下の活動のいずれかに含まれることが必要です。
•商品または事業の宣伝活動
•放送番組(有線放送番組を含む)または映画の製作活動
•商業用写真の撮影活動
•商業用の録音または録画を行う活動
「興行ビザ」取得までの流れ
申請人となる、海外在住の外国人は、日本に来日する際に期限が有効なパスポートと興行ビザを持って来日する必要があります。
ビザを取得するためには、まず日本の出入国在留管理庁に、在留資格が認められる必要があります。
そのため、地方出入国在留管理局に在留資格認定証明書交付申請を行います。
在留資格が認められると在留資格認定証明書が交付されます。
その後、申請人が在住している国の日本大使館もしくは総領事館に興行ビザ発行の申請を行い、ビザが発行される流れになります。
興行ビザ取得までの流れは以下のとおりです。
1.書類送付
契約後、在留資格認定証明書交付申請に必要な書類を、申請人から申請代理人(主には招聘機関)へ送ります。
2.在留資格認定証明書交付申請
申請代理人が、地方出入国在留管理局へ、在留資格認定証明書交付申請を行います。
3.在留資格認定証明書交付
出入国在留管理庁で審査が行われ、在留資格が認められれば、在留資格認定証明書が交付されます。
4.在留資格認定証明書送付、受け取り
申請代理人は、海外に在住する申請人に、在留資格認定証明書を送付します。
5.ビザ申請
申請人は、送られてきた在留資格認定証明書と必要書類をもって、申請人が在住している国の日本大使館もしくは領事館に興行ビザを申請します。
6.ビザ発行
日本ですでに在留資格が認められているため、よほどのことがない限り興行ビザが発行されます。
7.来日
発行された興行ビザと有効なパスポート、在留資格認定証明書をもって、申請人が来日します。
問題がなければ上陸許可がおりて、日本への入国と滞在が可能になります。
「興行ビザ」の審査期間
在留資格認定証明書の交付には1〜2か月かかるとされています。
ビザの発行には国によっても違いがありますが、1~2週間ほどかかります。
そのため、ゆとりをもって申請することをおすすめします。
「興行ビザ」取得の必要書類
興行ビザ1号~4号まで、それぞれに必要な書類は以下のとおりです。
日本で取得する証明書は、すべて発行日から3か月以内であること、提出書類が外国語で記載されているものは、日本語訳の添付が必要となります。
また、基本的には提出された書類は返却してもらえないため、返却を希望する場合は、申請時にその旨を申し出る必要があります。
必要に応じて、必要書類以外の書類提出が求められる場合がありますが、申請に必要であるため、必ず提出するようにしましょう。
顔写真は、指定の規格を満たした写真を用意し、申請書に添付して提出します。
招聘機関や施設に関しての、登記事項証明書は、誰でも法務局のHPからオンラインで交付請求できるようになっています。
1号
興行ビザ1号の取得に必要な書類は以下のとおりです。
在留資格認定証明書交付申請書 | 1通 | |
写真 | 1葉 | |
返信用封筒 | 1通 | |
申請人の経歴書及び活動に係る経歴を証する文書 | 適宜 | |
契約機関に関する資料
| 登記事項証明書 | 1通 |
---|---|---|
直近の決算書(損益計算書、貸借対照表など)の写し | 1通 | |
その他契約機関の概要を明らかにする資料 | 1通 | |
興行を行う施設の概要を明らかにする資料 | 営業許可書の写し | 1通 |
施設の図面(間取りなどが記載されているもの) | 1通 | |
施設の写真(客席、控室、外観など) | 適宜 | |
興行に係る契約書の写し | 1通 | |
申請人の日本での具体的な活動の内容、期間、地位及び報酬を証する文書 | 1通 | |
興行契約に基づいて演劇等の興行に係る活動を行おうとする場合 | 契約機関の経営者(又は管理者)及び常勤の職員の名簿(5名以上雇用していることが必要) | 1通 |
契約機関の経営者(又は管理者)が興行に係る業務を通算して3年以上経験していることを証する資料 | 適宜 | |
契約機関の経営者及び常勤の職員が次のいずれにも該当しないことを申し立てる文書 | 1通 | |
契約機関が過去3年間に締結した興行契約に基づいて興行の在留資格をもって在留する外国人に対して支払義務を負う報酬の全額を支払っていることを証する次のいずれかの文書 | 適宜 | |
出演施設を運営する機関についての資料 | 登記事項証明書 | 1通 |
直近の決算書(損益計算書、貸借対照表など)の写し | 1通 | |
その他運営機関の概要を明らかにする資料 | 適宜 | |
運営機関の経営者及び出演施設に係る業務に従事する常勤の職員の名簿(5名以上雇用していることが必要) | 1通 | |
運営機関の経営者及び常勤の職員が次のいずれにも該当しないことを申し立てる文書 | 1通 | |
その他参考となる資料 | 滞在日程表・公演日程表・公演内容を知らせる広告・チラシ等 | 1通 |
2号
興行ビザ2号の取得に必要な書類は以下のとおりです。
在留資格認定証明書交付申請書 | 1通 | |
写真 | 1葉 | |
返信用封筒 | 1通 | |
申請人の経歴書及び活動に係る経歴を証する文書 | 適宜 | |
招聘機関に関する資料 | 登記事項証明書 | 1通 |
---|---|---|
直近の決算書(損益計算書、貸借対照表など)の写し | 1通 | |
その他招聘機関の概要を明らかにする資料 | 1通 | |
従業員名簿 | 1通 | |
興行を行う施設の概要を明らかにする資料 | 営業許可書の写し | 1通 |
施設の図面(間取りなどが記載されているもの) | 1通 | |
施設の写真(客席、控室、外観など) | 適宜 | |
興行に係る契約書の写し | 1通 | |
申請人の日本での具体的な活動の内容、期間、地位及び報酬を証する文書 | 1通 | |
その他参考となる資料 | 滞在日程表・公演日程表・公演内容を知らせる広告・チラシ等 | 適宜 |
3号
興行ビザ3号の取得に必要な書類は以下のとおりです。
在留資格認定証明書交付申請書 | 1通 | |
写真 | 1葉 | |
返信用封筒 | 1通 | |
申請人の経歴書及び活動に係る経歴を証する文書 | 適宜 | |
招聘機関に関する資料 | 登記事項証明書 | 1通 |
---|---|---|
直近の決算書(損益計算書、貸借対照表など)の写し | 1通 | |
従業員名簿 | 1通 | |
興行を行う施設の概要を明らかにする資料 | 営業許可書の写し | 1通 |
施設の図面 | 1通 | |
施設の写真 | 適宜 | |
従業員名簿 | 1通 | |
登記事項証明書 | 1通 | |
直近の決算書(損益計算書、貸借対照表など)の写し | 1通 | |
請負契約書の写し(招聘機関が興行を請け負っているときのみ) | 1通 | |
申請人の日本での具体的な活動の内容、期間、地位及び報酬を証する文書 | 1通 | |
その他参考となる資料 | 適宜 |
4号
興行ビザ4号の取得に必要な書類は以下のとおりです。
在留資格認定証明書交付申請書 | 1通 | |
写真 | 1葉 | |
返信用封筒 | 1通 | |
申請人の芸能活動上の実績を証する資料 | 適宜 | |
申請人の日本での具体的な活動の内容、期間、地位及び報酬を証する文書 | 1通 | |
受入れ機関の概要を明らかにする資料
| 登記事項証明書 | 1通 |
---|---|---|
直近の決算書(損益計算書、貸借対照表など)の写し | 1通 | |
従業員名簿 | 1通 | |
案内書(パンフレット等) | 1通 | |
上記のものに準ずる文書 | 適宜 | |
その他参考となる資料 | 滞在日程表・公演日程表・公演内容を知らせる広告・チラシ等 | 適宜 |
まとめ
興行ビザには、活動内容や種類、もしくは興行以外の活動である場合など、それぞれ1号~4号までの種類があり、ビザ取得に必要な書類が異なります。
ビザを取得するためには、日本の出入国在留管理庁に在留資格認定証明書交付申請を行い、交付された証明書と必要書類をもって、申請人が居住している国の日本大使館もしくは総領事館でビザの発行を申請する必要があります。
在留資格認定証明書の交付には1〜3か月、現地でのビザ発行にも数日かかるので、はやめに申請を行うことをおすすめします。
この記事の監修者
プロフィール
2009年4月 行政書士個人事務所を開業
2012年8月 個人事務所を行政書士法人化し「さむらい行政書士法人」を設立
専門分野
外国人VISA・在留資格、外国人雇用・経営管理、永住・帰化申請
入管業務を専門とし、年間1000件以上の相談に対応
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