興行ビザ3号の取得ポイントと申請方法・必要書類をわかりやすく解説
外国人がコンサートを行ったり、演劇に出演したりするような、興行活動を目的に来日する場合、興行ビザの取得が必要となります。
興行といえば、演劇や演奏会、コンサートなどの大がかりなものを想像しがちですが、飲食店での演奏やステージなども含まれます。
そのほか、プロ野球やJリーグ、プロバスケットボールチームで活動をするために来日する場合も、興行ビザの取得が必要になります。
サーカスも観客がお金を払って見るものであり、その収益によって団員の報酬が支払われるものであるため、興行ビザを取得する必要があります。
コンテストやダンス選手権のようなイベントでも、プロが出場して報酬が発生するのであれば、興行ビザ取得が必要な対象となります。
興行ビザには4つの種類があり、それぞれ当てはまる興行が定められています。
興行ビザは規定が細かいため、外国人が興行を目的で来日するのであれば、どのビザを申請するのか、よく規定を確認することが必要となります。
興行ビザ3号は、外国人が芸能活動以外の興行活動を日本で行う場合、取得するビザです。
ここでは、興行ビザ3号の取得のポイントについて、興行ビザの種類の説明をしながら、申請方法、申請書類について解説します。
「興行ビザ3号」と他のビザとの違いは?
興行ビザは、1号、2号、3号、4号の4種類があります。
どの種類のビザを申請するかは、申請人が日本で行う興行活動の内容により決まってきます。
興行ビザ3号と他のビザとは、どのような違いがあるのでしょうか。
興行ビザの違いとは?
興行ビザのうち、興行ビザ1号と2号は、演劇、演芸、歌謡、舞踊または演奏を行う興行について発行されるビザです。
興行ビザ1号を申請するのか、それとも興行ビザ2号を申請するのかは、その興行を行う施設の状況や規模など、もしくは興行に対する報酬の額や動員数により決まります。
興行ビザ4号は、興行ではない芸能活動を行うために来日する場合、必要なビザです。
興行ビザ3号の興行活動は、興行ビザ1号や2号とは違って、演劇、演芸、歌謡、舞踊または演奏を行う興行以外の活動と定められています。
そのため、外国人が興行ビザ3号を申請しようとする場合、興行ビザ3号の対象であることはもちろん、他の興行ビザの活動にあたらないかどうかを、しっかりと確認することがポイントです。
1号
興行ビザ1号で対象となる興行活動は、比較的規模の小さい興行活動が該当します。
興行の内容としては、演劇、演芸、歌謡、舞踊または演奏などです。
ホールなどでの公演以外にも、お店で行われる公演もこの興行ビザ1号に該当し、主に飲食店での活動が想定されるビザです。
興行ビザ1号は、外国人の不正入国や不正雇用、さらには人身売買などの犯罪に関連する可能性の高いビザになります。
そのため、興行の内容以外にも、給与や、従業員、施設についてなど、非常に細かい規定があります。
また、興行ビザ2号に該当する活動である場合は、興行ビザ1号の対象には含まれませんのでよく確認することが必要です。
2号
興行ビザ2号の対象とされている興行活動は、演劇、演芸、歌謡、舞踊または演奏などとなっており、行う活動の内容については、興行ビザ1号となんら変わりはありません。
しかし、この2つのビザでは、興行活動を行う施設がどのようなものであるか、どういった状態で運営するのか、もしくは興行の規模の大きさや報酬額によって違ってきます。
コンサートホールのように、飲食を伴わない場所での興行や、学校などでのイベント、もしくはテーマパークでの就労などが対象です。
1日の報酬が50万円以上であること、100人以上の客席での活動などの規定があり、規模の大きい興行が想定されます。
規模の大きさだけを見てしまうと、大きい施設での興行であれば、すべてが興行ビザ2号ではないのかと、と考えてしまいがちです。
しかし、興行ビザ1号と興行ビザ2号の違いを正確に判断することは、細かい規定のなかで、非常に難しい部分があります。
どちらのビザに該当するのかについて、規定を良く見て確認するか、不安であれば行政書士に問い合わせをして確認することをおすすめします。
3号
興行ビザ3号とは、演劇などの興行ではない、そのほかの興行活動を行う場合に申請する興行ビザです。
プロスポーツ、コンテストやサーカスなどの活動がこれにあたります。
日本人が受ける報酬と同じか、それ以上の報酬を得ることが必要になりますので、報酬についてはよく確認をする必要があります。
4号
興行ビザ4号は、興行以外の芸能活動に従事する場合に申請します。
興行以外の芸能活動は、以下の活動のいずれかに含まれることが必要です。
•商品又は事業の宣伝活動
•放送番組(有線放送番組を含む。)又は映画の製作活動
•商業用写真の撮影活動
•商業用の録音又は録画を行う活動
「興行ビザ3号」に該当する外国人
興行ビザ3号に該当する外国人は、演劇などの芸能活動以外で、報酬を得て活動をするプロがこれにあたります。
該当する興行活動の例としては、プロスポーツや、サーカス、コンテストなどが該当します。
スポーツでは、個人競技だけでなく、団体競技においても、プロスポーツ選手は、興行ビザ3号の取得が必要となります。
興行を行い、興行収入およびスポンサー収入にて運営されているプロチームに所属するのであれば、興行ビザ3号の対象です。
具体的な例としては以下のとおりです。
•プロ野球(独立リーグもプロチームであるため、要件を満たしていれば含まれる)
•Jリーグ(サッカー)
•BJリーグ(バスケットボール)
上記以外にも、プロチームで要件を満たすチームに所属する場合は、興行ビザ3号の対象になる可能性があるといえます。
e-スポーツ選手も同じように興行ビザ3号の対象です。
サーカス団に所属しており、パフォーマンスを行うパフォーマーも、興行ビザ3号の対象です。
実業団チームのように、スポンサーではなく企業がチームを運営しており、企業の収益から報酬が支払われるケースでは、興行ビザ3号ではなく、特定活動ビザを申請することになります。
所属や支払い先がどこにあたるのかといった部分は、非常に複雑であり間違えやすいため、注意が必要です。
あくまでも、スポンサー収入や興行収入が報酬のもとであること、もしくは賞金のみが報酬である場合が興行ビザ3号の対象となります。
また、他の興行ビザと同様、主となるプロ選手以外に、トレーナーやコーチなどの関係者も、選手と同じ種類の興行ビザを取得して来日する必要があります。
サーカスの飼育員なども、動物園などで就労する場合とは違い、興行ビザ3号を取得して来日することになります。
「関係者は興行ビザを取る」とありますが、例外としてマーケティングの仕事を行う場合には、技術・人文知識・国際業務ビザになる場合があるため、仕事内容をよく確認して申請を行う必要があります。
「興行ビザ3号」の取得要件
興行ビザ3号を取得するための要件はどのようなものがあるのでしょうか。
法令で定められていることがらとしては、日本人が従事するときと同等もしくはそれ以上の報酬が支払われることのみです。
興行ビザ3号の取得には、興行ビザ3号の対象である興行活動を行うことが前提です。
そのため、興行ビザ3号を取得するために、日本での活動が興行ビザ3号の対象であるかどうかを見極めることが重要です。
ここで説明する1号、2号、4号の活動にあたらず、興行収入による報酬を受ける活動であれば、興行ビザ3号の対象ではないかと考えることができます。
しかし、興行収入による報酬を受けているかどうかを判断する部分が難しいケースは多くあります。
もしわからない場合は、出入国在留管理庁の外国人在留総合インフォメーションセンターに問い合わせることをおすすめします。
1号
興行ビザ1号についての規定は以下のとおりで、どの項目にも該当していることが必要です。
申請人が行う活動について次のいずれかに該当していること。 | |
1 | 外国の教育機関において活動に関連する科目を2年以上の期間専攻した。 |
---|---|
2 | 2年以上外国においてその活動を経験した。 |
月20万円以上の報酬を得て活動する施設が、次のどの要件にも該当すること。 | |
1 | 外国人の興行に3年以上の経験を持つ経営者又は管理者がいる。 |
2 | 常勤の職員が5名以上いる。 |
3 | 施設の経営者又は常勤の職員は、次のいずれにも該当しない。
|
4 | 過去3年間において、契約した興行の在留資格をもって在留する外国人に対して報酬の全額を支払っている。 |
施設が次に掲げるいずれの要件にも適合すること。 | |
1 | 不特定かつ多数の客を対象として外国人の興行を行う施設である。 |
2 | 客の接待をして客が遊んだり飲食をしたりする施設である場合で、次に掲げるいずれの要件にも適合している。
|
3 | 13平方メートル以上の舞台がある。 |
4 | 9平方メートル(出演者が5名を超える場合は、9平方メートルに5名を超える人数の1名につき1.6平方メートルを加えた面積)以上の出演者用の控室がある。 |
5 | 施設の従業員数が5名以上。 |
6 | 施設を運営する経営者や常勤の職員が、次のいずれにも該当しない。
|
2号
興行ビザ2号の要件としては以下のとおりで、次のいずれかに該当していることが必要です。
1.国や地方公共団体、日本の法人、学校が主催する演劇などの興行活動をする場合。
2.外国との文化交流が目的で国、地方公共団体又は独立行政法人の資金援助を受けて設立された機関が主催する、演劇などの興行活動をする場合。
3.外国の情景や文化をテーマとしている、外国人による演劇などの興行を常に行っている、敷地面積が10万平方メートル以上の施設において、興行活動をする場合。
4.営利目的ではない場合や、客席が100人以上であり、客席において飲食物の販売を接待しない施設で、演劇などの興行活動をする場合。
5.興行により団体、もしくは個人に支払われる報酬額が、1日につき50万円以上であり、15日を超えない期間日本に在留して演劇などの興行活動をする場合。
3号
興行ビザ3号の要件は、日本人がその仕事をする場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けることです。
4号
興行ビザ4号の要件は、以下のいずれかにあたる活動をして、日本人と同等額以上の報酬を受けることです。
•商品又は事業の宣伝活動
•放送番組(有線放送番組を含む。)又は映画の製作活動
•商業用写真の撮影活動
•商業用の録音又は録画を行う活動
「興行ビザ3号」の発行手順
申請人となる、海外在住の外国人は、日本に来日する際に期限が有効なパスポートと興行ビザ3号を持って来日する必要があります。
ビザとは、申請人が在住している国の日本大使館もしくは領事館に申請して発行されるものです。
しかし、ビザ発行を申請するには、日本の出入国在留管理庁にて在留資格が認められなければ、申請することはできません。
在留資格が認められるためには、まず日本で在留資格認定証明書を得ることが必要となります。
そのため、興行ビザ3号を得るためには、日本での在留資格認定証明書交付申請と、申請人が在住している国での、ビザの取得が必要となりますので、間違えないようにしましょう。
また、在留資格認定証明書の交付には1〜3か月、ビザの発行には国によっても違いがありますが、数週間かかるため、ゆとりをもって申請することをおすすめします。
興行ビザ3号の発行の手順は以下のとおりです。
在留資格認定証明書
興行ビザ3号発行のためには、まず日本の地方出入国在留管理局にて、在留資格認定証明書交付申請を行い、在留資格認定証明書の交付を受けます。
申請する外国人が日本に滞在していない場合は、日本にいる親族や、興行を行う施設の関係者、もしくは弁護士や行政書士といった申請代理人が申請を行います。
地方出入国在留管理局へ在留資格認定証明書交付申請を行うと、出入国在留管理庁にて審査が行われ、認められれば在留資格認定証明書が交付されます。
在留資格認定証明書は、日本に来るための興行ビザ発行に必要な書類になるため、日本から申請人が居住しているところへ送付します。
興行ビザ発行
海外に居住している申請人が在留資格認定証明書を受け取ったら、申請人は興行ビザ3号を発行してもらえるように申請を行います。
在留資格認定証明書だけでは来日できないため、必要な書類とともに、居住する国にある、日本大使館もしくは日本領事館へ、興行ビザ3号の申請をする必要があります。
必要書類について詳しくは、その国の日本大使館もしくは日本領事館のHPなどで確認が必要です。
既に日本において在留資格が認められているため、書類不備などの問題がなければ、興行ビザ3号が発行されます。
来日
興行ビザ3号が発行されれば、来日できるようになります。
在留資格認定証明書に記載の日付から3か月以内に来日する必要があるため、来日の日程調整に不備がないように気を付けましょう。
申請人は有効なパスポートと興行ビザ3号を持って日本に来ます。
問題なければ上陸許可がおりて、日本での滞在が認められます。
「興行ビザ3号」の申請に必要な書類
興行ビザ3号の申請するための、在留資格認定証明書交付申請に必要な書類について説明します。
申請人に関する書類
申請人に関する書類は以下のとおりです。
在留資格認定証明書交付申請書 | 1通 |
写真
| 1葉 |
返信用封筒 | 1通 |
申請人の経歴書及び活動に係る経歴を証する文書 | 適宜 |
招聘機関・契約機関に関する書類
申請人を来日させる機関や、契約を行う機関に関する書類の提出も必要です。
必要な書類は以下のとおりです。
登記事項証明書 | 1通 |
直近の決算書(損益計算書、貸借対照表など)の写し | 1通 |
従業員名簿 | 1通 |
請負契約書の写し(招聘機関が興行を請け負っているときのみ) | 1通 |
申請人の日本での具体的な活動の内容、期間、地位及び報酬を証する文書 | 1通 |
その他参考となる資料 | 適宜 |
施設に関する書類
興行を行う施設に関する書類の提出も必要です。
必要な書類は以下のとおりです。
営業許可書の写し | 1通 |
施設の図面 | 1通 |
施設の写真 | 適宜 |
従業員名簿 | 1通 |
登記事項証明書 | 1通 |
直近の決算書(損益計算書、貸借対照表など)の写し | 1通 |
<参照:出入国在留管理局「在留資格「興行」3>
「興行ビザ3号」の在留期間
興行ビザ3号の在留期間はどれくらいの期間が認められるのでしょうか。
興行ビザの在留期間について、在留期間の更新も含めて説明します。
在留期間
興行ビザの在留期間は、3年、1年、6月、3月または15日です。
興行ビザ3号であってもこれに準じます。
それぞれの期間については、申請書に記載されている就労予定期間をもとに、その興行についてのスケジュール、企業の安定性や規模により、在留期間が審査され認められます。
興行についてのスケジュールや契約内容がわかる書類を申請時に提出するのはこのためです。
招聘機関や施設に関する書類の提出が求められるのも、審査に関連してきますので、書類は確実に提出することが必要です。
在留期間を更新するには?
すでに興行ビザ3号を取得して日本に滞在しているものの、滞在期間を更新する必要がある場合は、在留期間更新許可申請を行います。
認められれば、在留期間が更新され、同じ活動を継続して行うことができるのです。
在留期間更新許可申請に必要な書類は以下のとおりです。
在留期間更新許可申請書 | 1通 |
写真
| 1葉 |
パスポート及び在留カード | 提示 |
次のいずれかで、具体的な活動の内容、期間を証する文書 | 1通 |
興行に関係する契約書の写し | 1通 |
住民税の課税(又は非課税)証明書 | 1通 |
納税証明書(1年間の総所得及び納税状況が記載されたもの) | 1通 |
出演施設などに変更がある場合は、変更後の出演施設などの概要を明らかにする資料 | 適宜 |
活動日程表 | 1通 |
まとめ
興行ビザ3号とは、演劇、演芸、歌謡、舞踊又は演奏による興行以外の興行活動を行う際に取得する必要がある興行ビザです。
プロスポーツ選手やサーカス、コンテストなどでの来日の場合は興行ビザ3号を取得します。
演劇、演芸、歌謡、舞踊又は演奏による興行を行う際には、興行ビザ1号もしくは興行ビザ2号を取得します。
商品の宣伝や、番組収録や映画製作、写真撮影やレコーディング、動画撮影の活動で来日する場合は、興行ビザ4号を取得します。
どの興行ビザにおいても、不随する業務で一緒に来日するスタッフなども同じ種類の興行ビザを取得して来日します。
ビザを取得するには、まず日本の出入国在留管理局に在留資格認定証明書交付申請を行い、認められれば在留資格認定証明書の交付が必要です。
来日予定の外国人は、本国にて在留資格認定証明書と必要書類を持って、日本大使館もしくは日本領事館にビザを申請、認められればビザが交付されます。
外国人は、交付された興行ビザと有効なパスポートを持って来日する流れになります。
興行ビザには細かい規定があります。
自分が申請するビザがどれにあたるかがわからず不安な場合は専門の行政書士へ相談しながらビザ取得に向けて取り組むことをおすすめします。
この記事の監修者
プロフィール
2009年4月 行政書士個人事務所を開業
2012年8月 個人事務所を行政書士法人化し「さむらい行政書士法人」を設立
専門分野
外国人VISA・在留資格、外国人雇用・経営管理、永住・帰化申請
入管業務を専門とし、年間1000件以上の相談に対応
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